目次
・はじめに
・今、地方採用が脚光を浴びる理由
・地方採用が難しい理由
・地方採用を成功させるためのポイント
・地方採用を実施する上で注意すべきポイント
・本記事のまとめ
はじめに
現在、大卒の有効求人倍率は年々増加の一途を辿っており、就職活動における「売り手市場」は収束の見込みが立っておらず、どの企業も人材獲得に苦戦している状況です。
そんななか、採用競合の多い関東・関西などの首都圏をターゲットとした採用に加えて、「地方学生へのアプローチ」を本格的に検討している企業も徐々に増えてきています。
そこで今回は、地方採用が注目されてきている理由や地方採用の難点について整理し、地方採用を成功するためのポイントと注意点についてまとめてみました。
今、地方採用が脚光を浴びる理由
現在の新卒採用市場を取り巻く環境を一言で表すならば、間違いなく「売り手市場」といえるでしょう。
多くの企業同士で「新卒の求職者」という少ないパイを取り合っているのが現状です。
そして、企業数の多い関東や関西は特に新卒採用の激戦区と言えます。
しかも、「新卒の求職者」たちは人気の業界や企業に流れてしまいがちで、認知度の低い業界やブランディングが不十分な企業などは、「パイ」の取り合いで競り負けてしまう事が多いです。
つまり、「売り手市場かつ採用競合の多い関東・関西での採用はレッドオーシャン」といった状況なのです。
そこで白羽の矢が立ったのが「地方採用」です。地方の採用市場は、関東・関西の採用市場と比較すると、採用競合も少なく ブルーオーシャン であると言えます。
また、「地方採用」は関東・関西での採用と比べ、
・学生側の選択肢の少ない分、魅力訴求がシンプルに刺さりやすいこと
・まだ採用競合も目をつけていない優秀な人材が埋もれていること
などが利点として挙げられます。これらの理由から「今、地方採用が脚光を浴びている」という訳です。
つまり「地方採用」は、
「採用競合 が少なく、関東・関西での採用と比べてブルーオーシャン」
「純粋な学生 が多く、企業の魅力訴求が響きやすい 傾向」
「関東・関西では出会えない 優秀な人材 に出会える可能性」
このような特徴があると言えます。
地方採用が難しい理由
では、なぜ企業はすぐにでも地方採用に乗り出さないのでしょうか?
地方採用には前述のようなメリットが存在する一方で、もちろんデメリットも存在します。
地方採用の最大の壁、それは「距離」です。企業の本拠地から離れた地域で、採用担当者が出張するような形で採用活動を行う場合、交通費 や 移動時間 などのコストが発生します。
逆に、地方の学生を関東・関西に呼ぶような形で説明会や面談、面接などを行う場合には 学生側に同様の負担が発生 します。これは学生にとって、非常に大きな負担であると言えます。
株式会社サポーターズが2016年に実施した調査 によると、就職活動にかかる費用は関東在住の学生(平均12.9万円)と比べ、地方在住の学生(平均18.8万円)の方が高いことがわかります。特に 四国地方 の学生の負担は重く、平均42.5万円と、全国平均の16.1万円の 約2.6倍 もかかることがわかります。
そして、物理的距離が遠いために、学生との 綿密なコミュニケーション が取りにくく、心理的な距離を近づけるのも一苦労です。さらに、距離の問題はインターンや説明会の 開催の少なさ や 開催時期の遅さ にまで波及します。
そうなると、どうしても関東・関西学生と比べ、就職活動における情報格差 が生じてしまったり、キャリア観があやふやなままだったりする事が多くなってしまいます。
また、いざ「地方採用」を実施するという段階で地方に強い採用コンサルやエージェントに頼んだものの……
・地方学生のレベルや傾向についての知識を持ち合わせていない
↓
・規模感や学生層が掴めない
↓
・コンサルやエージェントに「丸投げ」となりうまくいかない……
なんてことも起きてしまいかねません。
この点も地方採用の難しさの一つと言えるでしょう。
また、「地方学生」の就職活動に対する考え方の傾向は関東・関西の学生と異なるため、彼らに合わせた接し方を考える必要があります。
「2020年卒 マイナビ大学生Uターン・地元就職に関する調査」 によれば、地元大学に進学した学生の 約7割 は「地元就職」を希望している事がわかります。
さらに 「キャリタス就活2020 就職希望企業ランキング調査 【地元&U/Iターンの就活】九州・沖縄エリア」 のランキング上位には、地銀やインフラ系、地元に根ざした 大手企業とそのグループ企業などが軒を連ね、人気だという事がわかります。
つまり「地方採用」は、
「物理的な距離から生じる 時間&金銭的なコスト という障壁」
「関東・関西学生と比べ 情報格差を抱えた学生 が採用ターゲット」
「企業側もその地方についての情報が不足」
「学生の多くが 地元志向&安定志向 」
以上の特徴があり、ネックとなっています。
地方採用を成功させるためのポイント
以上のようにハードルの高い地方採用ですが、ここで諦める必要はありません。
下記で、具体的に地方採用を成功させるためのポイントを 3つ ご紹介します。
1.地方学生にとっての「初めて出会う企業」を目指す
前述の通り、地方学生は就職活動への動き出しは遅く、企業と接点を持つ機会にも恵まれていません。
これを逆手に取り、関東・関西と同じ時期に出張イベントを開催したり、インターンへ招待したりすることで、地方学生が「就職活動を開始して初めて出会う企業」というポジションを獲得しやすいです。
そこで、地方学生が抱える「就職活動全般の 情報格差」を埋めてあげたり、「キャリア観醸成 に繋がるヒント」から新たな価値観を提示したりする事で、その学生の「就職活動を サポート してくれる企業」というポジションも獲得しやすいです。
「初めて出会う企業」
「就職活動をサポートしてくれる企業」
という2つのポジションは学生にとって心象がよく、企業に対して抱く 魅力度 に直結します。そして、この2つのポジションはライバルの多い関東・関西では獲得することがかなり困難なポジションです。ここで接触できた学生の印象に残れば、その学生の周囲へ 口コミによるブランディング効果 も狙う事ができます。
2.就活イベントに来てくれた「地方の優秀学生」に積極アプローチ
一般的に、地方学生の就職活動の動き出しは 遅い 傾向にあります。
しかし、一部の学生は早い段階から就職活動に強い興味を持っていて、関東・関西で実施されるインターンなどに応募している事があります。
このような、「早期に動き出す地方学生」は比較的優秀な人材である傾向があるため、積極的に企業の魅力を訴求するようにしましょう。その「地方の優秀学生」の友人や周辺の学生も優秀層であること多く、関係の構築に成功すれば、その友人に紹介してもらうことも期待できます。
就職活動に積極的な地方学生をキャッチすることで、芋づる式 に「地方の優秀学生」との関係を構築できる可能性があります。
3.地方採用が成功すると、「次年度以降の採用」を加速させることが可能
地方採用が実を結び、「地方Aの優秀学生」を採用する事ができたとします。すると、その優秀学生の持つ OBOGとしてのコネクション が利用可能となるほか、「地方A」での採用実績は、その地方の他大学へのフックにもなり得ます。
身近な大学の先輩が働いていることを知れば、学生側にも 親近感 が生まれ、企業の認知、魅力訴求にも効果的に働き、次年度以降の採用活動を円滑に進める事ができます。
地方採用を実施する上で注意すべきポイント
では最後に、「地方採用で気をつけなければならないポイント」も確認して、地方採用に対する施策を磐石なものにしていきましょう。
1.「地方採用の難点」をしっかり潰す
「成功させるポイント」があるとはいえ、地方採用には前述の通り難点もあります。それらをしっかり潰していく事で、より地方採用の成功に近づくことでしょう。
例えば…
「距離が遠くてコストがかかる」
→短期間(例:1泊2日)にコンテンツを濃縮するなど、工数の効率を上げる。
「地方の情報不足で手探り感が強くなる」
→採用コンサル、エージェントから「他社の採用実績」「大学ごとの特色」などの情報を共有してもらう。
「コミュニケーションが不足する」
→オンライン面談(Skypeなど)による負担の少ないコミュニケーションをとる。
ほかにも、地方学生は親の意見の影響力が強い傾向にあるので、直接実家に伺うなど、両親も巻き込んだ丁寧なコミュニケーションを心がけるなど、学生やその両親側の不安を取り除いてあげることも重要です。
2.「地方採用狙いのライバル」は増加していることを意識する
関東・関西ほどではないにしろ、地方採用でも競合は年々増加する事が考えられます。最近では、求める人材に対して企業からアプローチをかける ダイレクトリクルーティング といった採用手法を用いて、地方学生を積極的にリクルーティングしている企業も増えてきています。
スピード感 を持った動き出しはもちろん、学生との接点の持ち方やブランディングの段階で 競合(ライバル)との差異 を意識的に作り出し、採用につなげていく必要があります。早期段階から経営陣へ、地方採用への乗り出しの可能性について、頭出しを行って準備を進めていきましょう。
本記事のまとめ
地方採用の現状のまとめとしては、
・売り手市場で競争激化の今、ブルーオーシャン の地方採用は 狙い目
・ライバルはすでに増加中、早めの動き出し で有利なポジションを
そして、地方採用に向けてやるべきことは
・はじめに、地方学生と出会う機会 を設ける
・信頼できる採用コンサル、エージェント との協力関係を結ぶ
・「新たな キャリア観 を提示する」など、学生の印象に残る関係性を築く
・出会った地方優秀学生をツテに 地方学生との接触機会を増やす
・距離が遠いからこそ、丁寧なコミュニケーション
・地方採用を成功させ、OBOG のコネクションなどを利用して 次年度から使える基盤 を整える
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